太興院

太興院の檀務



龍雲山太興禅院公式サイト


2023年12月31日現在



太興院の檀務


             太興院本堂で法要

「概要」
ここでは太興院の壇務について述べさせていただきます。もちろんご寺院さんによって事情や方針は違いますので太興院がスタンダードとは限りません。その点は始めからお断りしておきます。
「お葬式」
先ず、お葬式を出す場合ですが、枕経と通夜と葬儀と初七日を行ないます。
「枕経」
枕経はご遺体がご自宅に戻られ親族ご近所が集まってから行ないます。その時に、通夜と葬儀の日時を決めます。また戒名を信士・信女にするか、居士・大姉にするか、院号にするかを決めます。それによって役僧さんの人数を決めます。
「戒名は授戒得度名」
授戒のない真宗さんは法名といいますが、没後作僧する多くの宗派は戒名といいます。戒名は菩提寺の和尚さまのお弟子になって得度し戒律を授けてもらい仏道修行者としての名前を頂くことです。和尚とは戒律を授ける師匠という意味です。授戒の儀式を住職である授業師が一人で行なうことはありません。戒律を受ける弟子の所作を助けて戒を復唱する僧衆と授戒を見届けそれを証明する僧衆が必要なのです。授戒は一人では行なえません。受戒したからこそ仏教徒としての名前である戒名が頂けるのです。戒名を自分勝手に付けることはできないのです。戒名をもらわずにあの世に旅立つということは仏弟子になっていないのであの世での修行が始まらないということです。自分がどうしてよいのか分からない。それが迷いです。
「役僧の人数」
また、禅宗では、信士・信女の葬儀は印金・太鼓・鐃鉢がいるので導師を入れて僧侶は4人、居士・大師の葬儀は印金・太鼓・鐃鉢が一対ずついるので僧侶は7人、院号の葬儀は三仏事で脇同士が二人つくので僧侶は9人となるのが定番です。また、お立合いが付くことがあります。都合により役僧さんの人数を調整できますが先に申した通り住職一人では行ないません。
「戒名の種類」
また信士・信女とは生前から仏教に帰依し菩提寺さんの行事に参加し護持会費や寄付という檀家さんの務めを果たしている方に対して付けるべきものです。居士・大師は長者の意味ですから檀徒の中で篤信でありかつ多くの布施や寄進をした方に対して付けるべきものです。 院号はその起こりは天皇が退いて上皇となりその住まいを院と称したことに始まり、次いで皇族が名乗り、貴族が名乗り、武家が名乗り、明治時代以降は、社会的な地位を得た成功者や一寄進でお寺に堂宇を建てた功労者に対して贈られます。
葬儀に於いて大切なことはできる限りお寺さんを呼んで施し功徳を作りそれを亡き人に回向して悪趣に堕ちないようにし善処に往生させることにあります。血脈・戒名があると既に懺悔して清浄を得、仏法僧の三宝に帰依し大乗菩薩の十六条戒を保っているので、これが免罪符となって更に浄土に往生が期待されるのです。
「戒名の功徳」
葬儀に於いて大切なことはできる限りお寺さんを呼んで施し功徳を作りそれを亡き人に回向して悪趣に堕ちないようにし善処に往生させることにあります。血脈・戒名があると既に懺悔して清浄を得、仏法僧の三宝に帰依し大乗菩薩の十六条戒を保っているので、これが免罪符となって更に浄土に往生が期待されるのです。私が生まれたもう半世紀以上前のことですが、私の祖父は生前寺を建てた功績により院号を授かりました。その祖父が臨終のとき父の夢枕に立ちました。祖父が遊びに来ると言うのでいつものように駅まで迎えに行ったそうです。祖父が「疲れた。」と言うので父が祖父を背負うとあまりにも軽かったそうです。家路を歩きながらそれとなく遠くを眺めると、白装束を着て額に天冠(三角巾)を付けた亡者の一行がぞろぞろと山の方に連なって歩いていくのが見えたそうです。その一行の一番後の亡者が山にさしかかり見えなくなる頃、祖父が「ここで降ろしてくれ」と言ったそうです。父が降ろすと「わしはもう行かねばならない。でも大丈夫だ。わしは生前に院号をもらっているからすぐに追いつける。達者でな。」と言うや否や、まるでロケットが飛ぶように宙に飛び上がり亡者の一行の後を追って山の方へと消えていったそうです。翌朝、父は祖父の訃音に接しました。不思議なことに叔父も同様の夢を見たとのことです。父と叔父の二人が同じ時刻に内容の同じ夢を見たのは祖父が臨終に際して、念波を飛ばしたからです。戒名をもらうことには意義があり功徳があります。あの世に逝ってからの安心になります。
「生前戒名」
たまに生前戒名を付けてほしいということがありますが、だいたい連れ合いに先立たれご自分もそう長くないと思われて夫婦戒名を付けてもらうか、跡取りがない場合が多いものです。戒名は年齢によって付け方が違いますのであまり先走ったことはせずその時になって対応した方がよいでしょう。
「葬儀のお布施」
太興院の場合、枕経の時に、枕経と通夜と葬儀と役僧と初七日と戒名にかかるお布施の総額を喪主親族側に提示します。もちろんそれは寺院と檀家さんの双方が納得し、世間の常識から見ても妥当な線を探るためですが、だいたい地域によって相場は決まっています。しかし寺院によっても異なります。失礼があってはならないので分からなければご住職に聞くのが一番よいでしょう。
「通夜」
通夜はだいたい住職一人で行ないますが院号の場合は役僧が付くことがあります。
「葬儀」
葬儀告別式の役僧の人数は先に述べた通りです。葬儀はまず授戒して戒名を授けます。それから棺前念誦・挙棺念誦を行ないます。ここまでを内諷経(うちふぎん)といって屋内でのお勤めです。この先からが野辺送りで告別式となります。告別式から会葬者の焼香になります。
「火葬場」
火葬場には送迎があればご一緒します。そうでなければ葬儀の終わりで真宗さんにならって灰葬を勤めます。火葬場では住職さんに炉前で一巻読経して頂きます。住職さんは斎場に戻られますが、皆さんはここでお昼ごはんを食べてお骨を拾って斎場に戻ります。
「初七日」
初七日はだいたい住職一人で行ないますが院号等の場合は役僧が付くことがあります。初七日は年忌のような大きな法要です。本来死後六日目に行なうのですが、葬式は死後3日〜5日くらいに行われるので葬儀が終わってまた二三日後に法事を営むのは大変なので収骨が終ったら斎場に戻って初七日を行なうのです。初七日から四十九日までの間を中陰といいます。中陰の間、魂はこの世とあの世の中間の状態にあると言います。
「二七日から六七日の中陰経・起ち日」
中陰の間、菩提寺さまに、初七日・二七日・三七日・四七日・五七日・六七日・七七日の七日経(中陰経)をお勤めしてもらいます。初七日は葬儀当日に済ませているので二七日からお願いすることになります。
故人は初七日・二七日・三七日・四七日・五七日・六七日・七七日にそれぞれ冥府の官王の裁きを受けると言われます。五七日の裁きをするのが閻魔大王です。閻魔大王の本地仏が地蔵菩薩です。死者は床世(とこよ)/黄泉(よみ)に行くという信仰があります。人は生前の善悪業によってあの世で生まれる処が違うと言います。ですから生きている中に善行を積み、悪行をしないことが大事です。中陰経は亡くなった方が悪趣に堕ちず善処に生まれることを助けます。また、月参りがある地方では初めての月命日に起ち日を勤めることがあります。
「四十九日(忌明け)・位牌のお精入れ・仏壇開き法要・埋骨・お墓開き法要」
中陰経の終わりが七七日即ち四十九日の忌明けの法事です。四十九日までに「本位牌」を用意して忌明け法要の時にご住職にお精入れの儀式をしてもらいます。白木の仮位牌から塗りの本位牌に替えます。四十九日は個人の魂がこの世からあの世に渡る日となります。ですからあの世である仏壇の中に故人の本位牌を安置します。
たとえ新家であっても本来信仰の基として家に仏壇を設け、仏・祖師・先祖位牌を祀っておくべきなのですが新仏がでてから仏壇を購入することが多いのが実情です。仏壇が間に合えば「仏壇開き法要」を行ないご本尊(三尊仏)・本位牌の「お精入れ」をします。
忌明けのお勤めの後、お墓に行って埋骨をします。お墓に就いても本来寿陵墓と言って生前にお墓を立てて空墓であっても先祖の魂を祀り信仰の拠り所とすべきなのですが、多くの場合、新仏がでてからお墓を購入することが多いのが実情です。また公営の墓地を申し込んでも新仏がでた家しか抽選対象とならず確保が容易でないこともあります。お墓を建てたら、お墓開き法要をするのですが時間的に長くなって大変な時は百ケ日にお墓開き・埋葬します。
家に仏が出ていなくても仏壇とお墓は予め用意し、菩提寺も予め決めて頼んでおく方が葬儀後の遺族の負担は軽くなりお寺さんとの付き合いも何かと安心できます。
尚、「お仏壇」や「お墓」はお金がかかることなので、いつまでにやらねばならないということはありません。彼岸や年忌に合わせて行なうことはよくあります。ただ、西日本では、うるう年に新しい仏壇を買ったりお墓を建てたりしない風習が残っている地域があります。これは、うるう月のある年は倹約に努めないといけないというなごりです。
「永代供養・総永代経・逆修(予修)」
都会に住んでいて菩提寺がない方の中には「永代供養」というものは自分の代で供養が絶えてしまう時に宗派に関係なしに永代供養を受け付けている大寺院や有名寺院に上げるものと思い込んでいる方もおられることでしょうが、尾張や三河といった地方では、家の跡が絶えるの絶えないのに全く関係なしに檀信徒であれば、お葬式が終わって四十九日(真宗さんは三十五日)の忌明けが済んでから総永代経までの間に「新永代経」を菩提寺さんに上げるのが恒例となっております。新永代経とは新たに永代供養を上げたとの意味ですが、その金額は地域によってだいたい決まっています。信者(片檀家)さんは檀家さんの半額をお寺さんに上げるのがしきたりです。一般的に皆様方から集められた祠堂金(新永代経のお金)はお寺の修繕などに使われます。新永代経(永代供養)を上げると本堂に張り出され、祠堂帳に施主名と先祖代々なり戒名なりその志す所が記帳されます。 お寺の恒例行事である総永代経に施主が参加費を払って出席すると志す所の精霊が供養されます。総永代経への参加がなければ回向の最後に「当山永代供養の施主各々念ずる所の諸精霊」などという読み込みで一括供養されます。永代供養を上げておけばもしも絶家になった時に総永代経で一括供養させることは確かに保険なのですが、供養できるうちは、なるべく総永代経に出席して供養すべきものなのです。初めて永代供養の法要に参加することを「お紐解き」と言います。或いは永代供養は本堂の祠堂に就いて上げるものですから祠堂経とも言います。祠堂に先祖代々や故人の位牌をお祀りすることを「立牌」とか「入堂」とか「新祠堂」などと言います。 永代供養というものにも地域にとって相場や慣例が存在します。さて、ご自身を供養してくれる跡取りがいない場合、生前に後見人と菩提寺さんとに相談して死後の供養を依頼しておくことを逆修(予修)と言います。葬儀や戒名や埋葬や永代供養のことを前もって決めておくことを言います。但し信頼に足る身内の方がおられるのならば余り先走って逆修を上げるのはどうかと思います。
「百ケ日」
忌明けが済んで百ケ日の法事があります。百ケ日はもう泣くことを止めましょうという法要です。ご本尊や観音様やご先祖の供養も兼ねて行ないますから中陰経よりは大きな法要となります。百ケ日は喪です。
「初盆」
忌明けが済んで、初めてのお盆が初盆です。初盆には親戚・近隣を招くものです。初盆も喪です。
「年忌・弔い上げ・祥月命日」
それから、一周忌が来ます。一周忌の次の年に三回忌がやってきます。三回忌までが喪で、三回忌が明けると喪が明けます。葬式を出したら明くる年の神社への初詣は避けます。お寺への初詣は構いません。また年賀状も喪中につきご無礼します。
亡くなって丸六年目が七回忌です。もはや喪ではないので平服で構いませんが、派手な格好は控えるべきです。七回忌からは他の仏さんと年忌を併修して行なって構いませんが、一周忌と三回忌は他の仏さんと年忌を併修しません。亡くなって丸十二年目が十三回忌です。年忌はその後、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十三回忌、三十七回忌、四十三回忌、四十七回忌と続き、一般の方は五十回忌で、弔い上げとなります。五十回忌の弔い上げ法要は盛大に行います。また、年忌以外の年には祥月命日(毎年一度の命日)を勤める家もあります。
「棚経・彼岸・月参り」
五十回忌を過ぎると人は先祖の仲間入りをするとされます。八百万の神達であり家の神であり田の神、山の神、歳神でもあり、家族に福をもたらします。先祖は盆の棚経・彼岸・月参りなどで家が続く限り供養されます。
「繰り出し位牌」
繰り出し位牌は五十年を過ぎても盆の棚経の時に出すのでに弔い上げしません。
追善供養を営み亡くなった方に回向を廻らせば、先祖は死後の苦しみから解き放たれ安楽になります。亡くなった方にとって忘れられずに祀られるということは何よりもうれしいことです。私たちは先祖が艱難辛苦に耐えたからこそ今日の繁栄を享受している分けです。その恩に報いるためにも年忌という形でお祭りを催すべきです。追善供養を行なえば、自分自身も功徳を積んだことになります。功徳を多く積んだ者はあの世で安楽に生活できるといいます。あの世に行ったらご先祖様の許に行くのですから、「祭ってくれてありがとう」と感謝されます。そして自分も同じように子孫に祭られていくわけです。そこに生死を越えた安らぎがあるのです。私たちが法事を行なうのは、そういう文化に則っているからなのです。
「祥月命日」
年忌以外の年には祥月命日(毎年一度の命日)を勤める家もあります。
「年忌・祥月命日・盆・彼岸・月参りなどのお布施」
檀信徒行事年忌・祥月命日・盆・彼岸・月参りなどのお布施は地域によってだいたい相場が決まっているものですが菩提寺さんに直接聞くのが何よりです。
「檀信徒行事」
お寺では盆施食会や総永代経や大般若などの檀信徒行事があります。檀信徒は先祖や亡き人の菩提のため、また自らの祈願のため、そして安心のため、こぞって参詣するものです。
「護持会費・寄付」
檀家さんには寺院を擁護するため、年会費として護持会費をお支払いねがっております。 また、伽藍が傷んで修繕が必要な時は寄付をおねがいしております。




■荘厳

 


         仏壇              三具足(灯明・お香・仏花)




在家の本尊   阿弥陀如来  釈迦如来      大日如来


「概要」
ここでは太興院の住職が壇信徒法要で必要なものについて述べさせていただきます。もちろん宗派やご寺院さんによって説明は違いますので、その点は始めからご了承下さい。
「仏壇」
仏壇は家の信仰の中心で、仏菩薩や宗派の祖師、当家の先祖代々精霊、故人を祀ります。禅宗だと、紫檀(したん)、黒檀(こくたん)、タガヤサンといった唐木仏壇(からきぶつだん)が多いようです。安価な塗りの仏壇もあります。また、各宗共通の金仏壇もあります。浄土宗や真宗の仏壇は金仏壇でたいへん高価なものもあります。金仏壇は30年〜50年くらい経ったら洗いに出し、新品同様にしてまた使いますから少なくとも3代くらいはもたせます。地方の旧家にお参りに行くと大きな金仏壇があります。昔は、生活が今のように豊かでなかったにも拘わらず、仏事に財産の三分の一や四分の一をつぎ込んだものだと聞きます。それだけ、信仰が篤かったのでしょう。仏さまが出ていないのに家に空の仏壇を置くと死人が出ると言って忌む傾向にあります。そういう場合、本尊さんと脇士さんとをお祀りし、実家の菩提寺さんに頼んで先祖代々の位牌を造り併せて開眼法要を行ない影祭りをするようにします。
人が死を恐れるのは大脳前頭葉が個人の人格や技能や知識が失われることを恐れるのですが、反面、死後の世界がどういうものであり、どのような状態に生まれるのかが分からないからです。家に仏壇を置くのは、あの世は十万億土の遠いところにあるのではなく、この世と重なって存在しているのです。ただ、肉眼に見えないだけなのです。仏壇は浄土を模したものです。私たちは先祖と同じ空間にありながら毎日を暮らしています。いわば、死者と共生しているのです。だからこそ住居の中に仏壇というあの世という場所を設け、お参りするわけです。そしてやがてはご自分も浄土の住民となるのです。だから日頃から「自分は死んだら仏壇にもいるし、浄土の蓮の上にも居るのだ」という信心を確立することが大事なのです。私たちは先達が長い歴史をかけて築いてきた生死に関する文化をもっているのです。お仏壇についての詳しいことは、お仏壇を持たれるときに、旦那寺さんの指示に従ってください。
「在家の本尊」
普通在家でお祀りする本尊様はだいたい限られています。禅宗の場合、本尊様はお釈迦様になります(写真中央)。お釈迦さまは現実世界である娑婆世界(この世)に衆生済度の為に肉親を以って現れた仏さまなので「応身仏」といいます。脇士は文殊菩薩と普賢菩薩です。
商家などでは現世利益を願って観音様を本尊様にお祀りしている家もあります。観音様は六道あらゆる世界にいろいろな形で現れて衆生に慈悲を示して救済をなす仏さまなので「変化身(へんげしん)」といいます。
脇士を置かずに一尊だけだと、跡が絶えるというからだいたいお祖師さまの掛け軸をお祀りします。曹洞宗(そうとうしゅう)の場合、道元様(どうげんさま)と蛍山様(けいざんさま)の両祖を脇侍にお祀りしたり、達磨大師と道元禅師をお祀りしたりする家が多いものです。臨済宗も本尊様はお釈迦様になります。ただし、修派によって脇士のお祖師さまがかわります。真宗では、阿弥陀仏は絶対なる存在ですから一尊来迎で、光背を放射線状に描いた掛け軸が多いものです。丸彫りもあります。親鸞様や蓮如様もお祀りします。浄土宗の場合も来迎の立ち阿弥陀仏ですが、光背が舟形をしております(写真左)。本来は観音菩薩と勢至菩薩(せいしぼさつ)を伴いますが、お祖師さまをお祀りすることが多いようです。
阿弥陀如来は極楽世界を開かれた仏さまですが、非常に長い時間修行されてその結果得られた悟の境地を自ら楽しむ自受用身(じじゅゆうしん)であり、報身仏(ほうじんぶつ)ともいいます。阿弥陀仏は死者の世界の仏さまであり極楽浄土は死者が生まれて心身ともに快く楽しい世界です。鎌倉の大仏は阿弥陀如来です。
真言宗では大日如来(写真右)と弘法さまとお不動さまをお祀りすることが多いようです。大日如来は毘盧遮那仏ともいいます。東大寺の大仏は毘盧遮那仏です。毘盧遮那仏は宇宙の真如・仏性そのもの(真理)ですから法身仏(ほっしんぶつ)といいます。毘盧遮那は梵語の音訳で意訳が大日です。大日如来は密教の教主ですが、現代仏教教学では密教は大乗仏教から独立したものとはせず中期大乗仏教、後期大乗仏教がいわゆる密教に当たるとします。日本の密教は中期大乗仏教に相当します。後期大乗仏教はタントラ仏教ともいいますが日本には伝わらず、今日ではチベットやネパールで行なわれています。
天台宗ではお薬師様やお釈迦様や阿弥陀様といったいろんな仏様をご本尊さまにお祀りすることが多いようです。日蓮宗では板曼荼羅や多宝塔、お上人様をお祀りすることが多いようです。詳しくは、お仏壇を持たれるときに、旦那寺となるご寺院さまの指示に従ってください。
「三具足」
上の画像は仏壇の手前に供える「三具足」の写真です。三具足とは、灯燭(右)と仏華(左)と線香立て(中央)のことです。仏さまやご先祖さまには先ず灯明(蝋燭の火=智慧を表わす)と仏華(慈悲を表わす)と線香(菩提心を表わす)をお備えします。また、五具足とは灯燭一対、仏華一対、香炉一つで具足が五つになり、花・燭・炉・燭・花、或は、燭・花・炉・花・燭という配置になります。そしてお水とお仏飯さまをお供えします。
お仏壇の中段の板に「打ち敷き」をはさみ、同じく「三具足」を供えますが、電飾と(右)と常花=金蓮華(左)と蓋のある小さな香炉(中央)になります。大きな仏壇だと五具足という配置になります。ミニ仏壇には仏壇内の三具足はありません。
「お仏華」
普段のお仏華は市販のものが便利です。自分でお花を作っているのであればそのお花を使ってもかまいません。お仏華に適さない花はトゲのあるもの、毒のあるもの、異臭を放つものです。バラなどはトゲを削ぎ落とせば使ってもかまいません。お仏華は普段一輪挿しを嫌います。基本的には、しゃしゃぎ等の青い葉のものを背にして2色以上になるようにさします。
「打ち敷き」
お仏壇の打ち敷きは浄土真宗では三角形のものを用いますが、禅宗などでは長方形のものを用います。着物と同じく夏物(お盆・秋彼岸)と冬物(正月・春彼岸)がありますから注意が必要です。真宗さんでは中陰中でもお仏壇は開けておくので打ち敷きは裏地の白にしておきますが、禅宗等では中陰中はお仏壇を閉めますから打ち敷きを裏にしておく必要はありません。ただし、四十九日を中陰祭壇でなく仏壇で行なう場合、打ち敷きを裏にしておくか初めから表にしておくかはご住職にお聞きください。三回忌までは喪なので青(緑)系統の色の打ち敷きが無難で、それ以降の年忌や正月は祝事なので赤系統の打ち敷きが無難です。もっとも紫系統の打ち敷きならば慶弔どちらの場合にも使えます。尚、真宗さんでは亡くなられたら速やかに往生するというご宗旨ですので忌明けから赤系統の金襴の打ち敷きに赤い蝋燭を用います。禅宗などでは赤い蝋燭は正月や祝事、五十回忌の弔い上げの時に用います。普段は白い蝋燭を使います。
「仏器台」
仏器台とは仏飯器の下に置く台です。真宗さん金仏壇の場合六角仏器台を用いますが禅宗の仏壇では丸型仏器台を用います。
「遺影」
昔、写真は貴重なものでわざわざ遺影用に正装してかしこまって撮ったものですが現在ではスマフォなどで気軽に撮ってデータとして保存できる為葬儀後に遺影を家の鴨居に掲げる家は少なくなりました。大体風呂敷に包んで仏壇の脇などにしまっています。一方小さな遺影を仏壇の中に入れている家がありますが、仏壇は江戸時代に寺請制度で庶民に普及したもので構造上写真を容れる場所を想定していませんので、できれば仏壇の前に供物台などを設けてその上に置いて頂きたいと存じます。僧侶の立場から言うと供養に必要なのは拝む対象である本尊・掛け軸・位牌と言った依り代(よりしろ)であって見る為の遺影ではありません。





■お霊膳




    霊膳・焼香セット・お仏飯・お水・洒水(しゃすい)

「概要」
平時、浄土真宗では「お仏飯」しかお供えしませんが、禅宗などの宗派では「お仏飯」と「お水(閼伽あか)」をお供えします。また、浄土真宗では法事などの時、お霊膳をお供えしませんが、禅宗等の宗派では法事などの時、「お霊膳」をお供えします。地域によってはご本尊さまと故人ご先祖さまの為、二つ霊膳を用意する所がありますのでその風習を重んじます。
「お霊膳の例」
1、霊供膳には、精進ものをお供えし、肉・魚は使いません。また、にんにく・にら等の匂いのきつい食物も使いません。
2、洒水(しゃすい)は、湯呑み茶碗にお水を半分ほど入れ、その中に菊などの大きめの葉っぱ一枚を、柄を上向きにして入れておきます。
3、季節のお餅(草餅・牡丹餅・お萩など)、お団子、和菓子、果物、お茶、その他の飲み物などを適宜にお供えしましょう。
4、親戚等が贈ってこられた提灯・灯篭があれば、出して点灯しましょう。
5、年忌などの時は、焼香の準備(抹香・香炉・香炭・灰=焼香セット)をしましょう。
6、故人が好きだった場合、酒類やタバコは開封せずにお供えください。勤行が終わってから開封します。
7、忌明けの四十九餅は砂糖やパンで代用しても構いません。年回忌の時にお餅をお供えし更に五十回忌の時にお赤飯をつけることもあります。これらは会席者にお下がりとして配ります。
8、線香・蝋燭・焼香・電燈等は、会食等でその場を離れる時必ず切って下さい。点けっ放しにしておくと、火事になることがありますので十分ご注意下さい。
9、法事などの準備は菩提寺様にお尋ねください。




■お盆の本膳

  


           本膳        キュウリの馬  ナスの牛


「概要」
この辺では盆の事始めは七日盆と言って8月7日にお墓の掃除を行ないます。一般には、お盆の迎え火は13日の夜焚き迎え団子をお供えします。送り団子をお供えして送り火は15日の夜か盆明けの16日の朝焚きます。どこで焚くかは地域や風習によって多少違いますが、お墓で焚いたり庭先で焚いたりします。迎え火を焚くときは、ご先祖さまは速く着きたいからキュウリの馬をお供えします。また、送り火を焚くときは、ご先祖さまはなごりをおしんでゆっくり帰りたいからナスの牛をお供えします。馬の作り方は、キュウリを七対三くらいに切り、頭と胴体にします。割り箸を切って刺し足と首にします。茹でたそうめん一本をたてがみにするとよいでしょう。牛の作り方は、ナスはへたが頭で実が胴体です。割り箸を切って胴に刺し足にします。お精霊さまは、牛に乗ってゆっくりあの世に帰られます。
棚経は元々江戸時代にお寺が幕府の命を受け、隠れキリシタンを取り締まるために始めたものです。玄関からゆっくり入っていたのではその間にマリア様を仕舞われてしまうのでいきなり座敷に直接上がったのです。それが風習として残ってしまったのです。お盆のときのご先祖さまの食事の献立ですが、地方によってもその家によってもさまざまですが、夏ですのでそうめんなどを茹でたものやかぼちゃや冬瓜の煮つけをお供えしてあることが多いものです。十四日のお昼は本膳と言ってお霊供膳を用意します。
「本膳の例」
1、盆の本膳(五品)には、精進物をお供えし、肉・魚は使いません。また、にんにく・にら等、匂いのきつい食物も使いません。別の皿におかずを盛ってお膳の横に置き、七品・九品にしても構いません。図ではそうめんにしてありますが習慣で赤飯を供える地域ならば赤飯等を供えます。霊膳がごはんものの時は、別に乾麺をそのままお供えしていることはよくあります。
2、和菓子(饅頭や団子や餅の類)、季節の果物や野菜、麺類、お茶、ジュース等を適宜にお供えしましょう。
3、水の子(ナス・キュウリ・大根などをさいの目に切り、器や大葉に盛ったもの)を添えることも宜しいでしょう。
4、親戚等が贈ってこられた提灯・灯篭があれば、出して点灯しましょう。
5、宗派や地域の慣習等があれば、それに随って下さい。分からないことは、親戚に聞いたり菩提寺様に尋ねたりしましょう。



■お彼岸のお供え

「概要」
1、お彼岸は、お中日を挟んだ前後七日間をいい、春の彼岸と秋の彼岸と年に二回巡ってきます。
2、お中日は西方極楽浄土の阿弥陀如来に祈念してご先祖の菩提を供養するのに最も良いとされます。
3、また、彼岸は迷いの世界である此岸から悟りの世界である彼岸へ到るべく、六波羅蜜を修行する期間であるとされます。
4、六波羅蜜とは六度・六彼岸と漢訳し六つの完成(成就)を意味します。六つとは、布施・持戒・忍辱・精進・禅定・般若のことです。般若は智慧の意味です。般若波羅蜜多心経とは智慧の成就の核心の縦糸という意味です。
5、六波羅蜜を修行することなど在家の方には大変難しいと思われがちですが、仏さまを供養する前に手洗いを済ませて身を浄めることは持戒波羅蜜に当り、お供え物の水は布施、華は忍辱、線香は精進、飲食は禅定、灯明は智慧波羅蜜に当ります。供養は六波羅蜜に通じるのです。
6、彼岸団子を供える風習がある地域ならば、彼岸の入りの日に「入り団子」を彼岸の最後の日に「明け団子」を供えます。春彼岸のお中日には「牡丹餅ぼたもち」を秋彼岸のお中日には「お萩おはぎ」を供えます。「牡丹餅」と「お萩」は同じ小豆のあんころ餅ですが今ではいろんな種類があります。和菓子屋さんやスーパーマーケットで売っています。
7、お中日或は彼岸経の日には仏壇に霊供膳をお供えします。肉・魚・ニンニク・にらを使わず精進物を供えます。白飯ではなく、赤飯や栗おこわにしても結構です。季節の果物や和菓子やお茶やその他の飲み物等も適宜にお供えしましょう。




■太興院の檀信徒勤行のいろいろ

  

                葬式               法要

 

            永代供養(祠堂位牌)


「概要」
ご縁があってお寺の檀信徒になることはご自身が功徳を積む上でもご先祖さまの菩提を弔う上でも冥加を得る上でも心の拠り所を得る上でもとても意義のあることです。
太興院は、檀那寺としまた地域の寺院として活動しております。
檀家さんの毎年の護持会費は現在2万2千円となっております。
さて、太興院の恒例檀家行事は以下の通りです。
1、正月の初弘法
2、五月の花祭り
3、七月の報恩会・盆施食会
4、十一月の観音祈祷般若・総永代経
です。
また、普請等の場合、ご寄付をお願いすることがあります。
また、お寺掃除をお手伝い願うことがあります。
また、同行というお寺の役が回ってくることがあります。
その他、行事のお手伝いをお願いすることがあります。
私達は檀家さんがお寺を護持すること自体、仏教を擁護することであると考えております。
以下、壇務の主だったものを紹介します。
1、葬式
2、法事
3、棚経
4、月参り・祥月命日・彼岸経
5、永代供養(一般の方も可能です)
太興院の永代供養は、檀家さんだけでなく、世間一般の方でも上げることができます。一柱につきお位牌代込みで12万円以上の祠堂金を頂いております。祠堂にご先祖さまや新仏さまのお位牌をお祀り致しております。お祀りする期間は特に決めておりませんが場所が可能な限り永世に渡ってお祀りしたいと存じます。永代供養に管理費(年会費)は発生しません。尚、お位牌は当山規定のものに限らせて頂きます。また、一度納めた祠堂金は返還できません。当山では祠堂金を上げられた方を対象に年に一度11月23日の勤労感謝の日に「総永代経」の行事を行なっております。供養料は現行3千円です。お参りは、役員以外は希望者のみです。
6、臨時儀式(一般の方も可能です)
お問い合わせください。
7、特別儀式(一般の方も可能です)
お問い合わせください。





■2022年の行事予定

太興院の2022年の行事は以下のようになっております。
尚、檀信徒行事でありますが、檀信徒のご紹介であれば参加することができます。
□初弘法:(檀徒・町内)
1月29日(土)午前9時
□花祭り:(檀徒)
4月10日(日)午後4時勤行)
□花祭り:(町内)
5月8日(日)午前9時勤行
□報恩会・盆施食会:(檀信徒)
7月3日(日)午後4時
□観音供・総永代経:(檀信徒)
11月23日(祭・水)午後4時
尚、予定は予告なしに変更されることがございますことをご了承ください。





閼伽とお仏飯



            閼伽(水)・仏飯

閼伽(お水)は、常時お供えします。毎朝新しいお水に替えます。
お仏飯はお昼12時までには下げます。午後は上げません。
朝、お粥ならば仏飯器ではなくお椀にお粥を盛ってお供えします。
朝、パン食ならば仏飯器ではなくお皿にパンを盛ってお供えします。コーヒーを付けても結構です。
但し、お粥やモーニング(パン・コーヒー等)は仏壇の中には入れず、引き出しの供物棚や手前の経机の上のお供えします。
仏さまは原則午後食事をしないので夕方ご飯を炊いたからと言ってお仏飯を上げることはしません。但し逮夜の法事などの時はお非時として特別に上げます。
お茶やコーヒーやジュースなどの飲物は湯呑茶わんやコーヒーカップやグラスなどに容れて、やはり仏壇の中には入れず、引き出しの供物棚や手前の経机の上のお供えします。
飲物も原則お昼12時までには下げます。
午後三時のおやつにお茶を上げても構いませんが、午後四時には下げます。
午後四時以降上げるのでしたら白湯(さゆ)のみとなります。
余所からもらったものは先ず仏さまにお供えして感謝してから頂くようにすると功徳を増します。




太興院新型コロナ並びにインフルエンザ対策



              エタノール

■太興院新型コロナ並びにインフルエンザ対策
2020・12・29
太興院行事の折の新型コロナ並びにインフルエンザ対策は以下の通りです。
☆場内は暖房しつつ努めて換気致します。
☆盆・永代経の役僧の人数を減らします。
☆勤行時間を短縮します。
☆行事当日発熱などで体調のすぐれない方はお休み下さい。お土産は後でお持ち致します。
☆お参り当日、マスクとお数珠をご用意下さい。
☆到着しましたら受付の消毒液をご使用下さい。
☆お施主様は受付を済ませ本堂の東西両脇の間の椅子や座布団にお掛け下さい。
☆今回の初弘法では、お茶の接待は行いませんので主菓子とお茶はお土産と一緒にお持ち帰り下さい。
☆法律の施行に依り2020・04・01より太興院建造物境内地での喫煙は禁止となりました。
☆お手洗いはウイルス飛散防止の為、便座の蓋を閉じて水をお流し下さい。お手洗いにも消毒液を用意致します。
☆お帰りの際、もう一度手を消毒して下さい。
以上でございます。
どうぞお気を付けてお寺にお越し下さい。


住職 合掌





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